いちご泥棒

いちご泥棒・イチゴドロボウ　William Morris　Strawberry Thief

ウィリアムモリスの代表作の一つ、とても人気のある『Strawberry Thief』。
川島織物セルコンの日本製は【いちご泥棒】、イギリス製の日本国内在庫生地は【イチゴドロボウ】と表記されています。
日本製では４色のドレープと２種のエンブロイダリーレースをラインナップ。イギリス製は “ピュアモリス” のプリント・刺繍、淡色の”シンプリーモリス”、ベルベットのプリントなどもありますが、一番人気は定番の綿プリントのイチゴドロボウ。

お客様からはよく「どっちがいいのですか？」と聞かれますが、
百聞は一見に如かず、ファブリカの出張訪問でご覧いただく “大きな生地サンプル” で比較しました。

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新たに国内メーカー「リリカラ」「サンゲツ」から、ジャカード織の『いちご泥棒』が発売されました。
本編後半で川島織物セルコンを加えた国内メーカー三社の『いちご泥棒』の比較をしました。

左から順に、K009, K008, K011(日本製織物)、右端K010(日本製織物)、斜め配置の上段からM009, M010, M012, M011(イギリス製プリント)。

日本製『いちご泥棒』とイギリス製『イチゴドロボウ』を並べています。斜めになっているのがイギリス製。
『Strawberry Thief』は鳥・イチゴ・花・枝葉とモチーフ数が多く、密度の濃い柄なので、一見すると全部同じように見えます。
一つの画像に入れようとして、ずいぶんと込み入った印象になってしまいました。分かりにくいので個別に見てみましょう。

まず、日本製川島織物セルコンの『いちご泥棒』。全4色。

左から順に、K010, K009, K011, K008。

日本の川島織物セルコン製『いちご泥棒』はポリエステル100％のジャカード織です。
ポリエステルなのでウォッシャブル。サイズにもよりますがご自宅の洗濯機で洗えます。形態安定加工を施すこともできるので、ヒダから裾まできれいなウェーブが通ります。また、寸法変化率が小さいこともメリットの一つです。ポリエステルとしては抑え目ながら光沢感があり、高密度に織られているので色柄もクッキリと表現されています。

次に、イギリス製プリント『イチゴドロボウ』。国内在庫品全5色。

左から順に、M013, M009, M010, M012, M011。

イギリス製『イチゴドロボウ』。コットン100％のプリント生地です。日本ではマナトレーディングで取り扱っています。
白いベース生地に印刷（プリント）することで色柄を表現しています。プリントならではの鮮やかな発色が最大のメリット。逆光で見ても色柄がハッキリと見えます。また、本家本元のイギリス製ということも所有欲を刺激します。天然素材の綿100％ということも安心感を感じられるかもしれません。発色が良いぶん退色も目立つので、日当たりの良い窓には裏地付きをお勧めしています。　

さらに個別に見てみます。イメージカラーの紺色ベース。

… 織物とプリントの違い …。できましたら各画像をクリックしてアップで見てください。糸目まで見える解像度になっています。
左の日本製は浮き立つような立体感のあるジャカード織で、緻密な織りにより多くのポリエステルドレープの中でも際立った鮮明度を持っています。 右はイギリス製鮮やかなプリント生地。クラシカルな味を醸し出すムラのような色の濃淡も、ウィリアムモリスブランドの本物感を構成する要素の一つです。

二つ並べて見てみます。真ん中の白線はプリント生地の耳です。

左 : 日本製織物 K008、右 : 耳付きのイギリス製プリント M011

生地の組成は前述の通りですが、柄の大きさにも違いがあるのが分かります。 … 右の鳥のほうが大きい … 。
イギリス製プリントは生地幅138cmで柄の横リピート46cm。生地一巾に鳥のペアが3組（6羽）並んでいます。日本製織物は生地幅139cmに、横リピート34.8cmなので4組の鳥が並びます。大きさの割合で4対3、日本製織物に対しイギリス製プリントは約133％の大きさになっています。　

生地の裏面も見てみます。

日本製織物では、表面に見える苺の赤糸が裏面では横バー状です。赤糸は苺以外の部分では裏に回りこんで、苺レッドをクッキリさせています。イギリス製はプリントなので、裏面はそのまま反転しています。なので外から光が入ってくる逆光状態でも色柄クッキリ。

人気カラーのライトブルーも並べました。

左日本製織物 K011、右イギリス製プリント M012

このカラーは両方ともバリエーションの中では唯一の淡色。ベースカラーに合わせて苺レッドも彩度を抑えやや控えめです。
主張の強い他のカラーと比べソフトな雰囲気で、比較的昨今のインテリアにも取り入れやすいかもしれません。

ちょっと深追いして、生地の厚さを測りました。

150㎠・475ｇの木板を重ねた生地に乗せて計測。板厚を差し引いた計測値を生地枚数で割ります。
生地厚さ結果　【左 日本製織物 : 1.03mm】【右 イギリス製プリント : 0.53mm】　　ほぼ倍。あるいは、ちょうど半分。
イメージ的にはもっと差があるかと思っていましたが、意外と差が小さい。ちなみに日本製『いちご泥棒』は最近のモリス以外のポリエステルドレープの中でも地厚なほうです。

しつこく深追い。重量もチェック。

これは単純にハカリに乗せます。生地面積で割る。
生地重量結果　【左 日本製織物 : 408ｇ/㎡】【右 イギリス製プリント : 249ｇ/㎡】　ほぼ ８対５。プリントが織物の5/8。
これはだいたいイメージ通り。天然素材よりも化繊の方が軽い傾向なので、厚さ半分に対して、重量は半分まではいかなかったと。　　　　

ここから、国内カーテンメーカー三社のジャカード織『いちご泥棒』比較。

左から順に、リリカラ T001,　川島織物セルコン K008,　サンゲツ T130,

三メーカー共通で、ポリエステル100％のジャカード織。すべてウォッシャブルの防炎ドレープです。
柄の大きさは左リリカラと真ん中川島織物セルコンはほぼ同じ。右サンゲツは1.5倍ほどの大きさです。鳥が大きい。リリカラと川島織物セルコンは生地一巾に鳥のペアが4組（8羽）並んでいます。サンゲツは3組（6羽）。
色の違いは画像を見ての通りで、同じダークブルーのベース地は微妙な違い。リリカラと川島織物セルコンは近い色相で、サンゲツはややグレイッシュ。イチゴの色はけっこう違います。リリカラはブルー寄りのレッド、サンゲツはイエロー寄り。
光沢感はリリカラが一番マットで、川島織物セルコンは中間、サンゲツはクラッシックエレガントイメージの生地としてはやや強い印象です。単純な平織りの場合、細糸の密度が高くなるほど光沢感は強くなりますが、サンゲツのいちご泥棒は柄部分に使われた太い光沢糸の緯糸が光を放っているようです。

続いて、生地裏面を見てみます。

左から順に、リリカラ T001,　川島織物セルコン K008,　サンゲツ T130,

苺の赤の緯糸が裏面で横バー状になっているのは三メーカー共通。リリカラだけはイチゴの隙間も埋めて一本の横バーになっています。他の二社と比べ生地がやや薄いので、逆光で透けて見た時に、横バーが煩雑に見えるのを避けたのかもしれません。裏面の地色も表の反転色がそのまま反映されているようです。

表面を個別に見てみます。リリカラ vs 川島織物セルコン、川島織物セルコン vs サンゲツ。

リリカラ vs 川島。織密度の違いから光沢感・発色に差があります。リリカラは全体的に落ち着いた印象、川島織物は立体感があり、色に深味があります。一つの色を表現するのにいろいろな色の糸を使い緻密に織っています。
川島 : サンゲツ。光沢感の差が一目瞭然。ベース地も含め全体的にサンゲツは光沢強めです。サンゲツは彩度を抑えてグレイッシュなカラー設定。やや都会的でモダンな印象です。

さらに細かく見てみます。イチゴ部分のアップ。

リリカラ T001

川島織物セルコン K008

サンゲツ T130

イチゴの赤糸を見ると、織密度がだいたいわかります。ほぼ同じ条件で撮影しているのですが、真ん中の川島織物セルコンだけは赤糸の一本一本を識別できません。糸が細く緻密であるということです。他二社は数えようと思えば数えられるレベル。
サンゲツは太い光沢糸の緯糸を長く浮かせているため、糸を引っ掛ける可能性があります。カーテン屋などは毎日生地に触れて指先が荒れているので、糸引きを作らないよう注意が必要です。

続いて、厚さチェックです。

150㎠・475ｇの木板を重ねた生地に乗せて計測。板厚を差し引いた計測値を生地枚数で割ります。
生地厚さ結果　【左 リリカラ : 0.82mm】【右 サンゲツ : 0.90mm】、前出の川島織物セルコン【1.03mm】
だいたい見たイメージ通りの結果。川島織物セルコンは2014年の発売から9年近くサンプルとして酷使されているので、かなりくたびれているはずですが、まだ若い生地には負けていません。新品だったらもう少し厚かったかもしれません。

続けて重量チェック。ハカリに乗せ、サンプルの生地面積で割ります。

生地重量結果　【左 リリカラ : 318ｇ/㎡】【右 サンゲツ : 339ｇ/㎡】、前出の川島織物セルコン【408ｇ/㎡】
これもだいたいイメージ通りの並び順。サンゲツは太い緯糸の影響か生地のヨコ張りが強めなので、畳むとボリュームがあるのですが、測ってみるとリリカラとの差は6～7％でした。　　　　

最後にコストパフォーマンス比較。

オーダーカーテンはたいていの場合、カーテンメーカーが設定した定価（希望小売価格）から、小売店・家具店・量販店や建設会社などが何パーセントか割引きをして販売されています。
メーカーの定価設定が高い場合は割引き率も大きくなり、定価を抑えているものは割引き率も低くなっている傾向です。
実際の『生地の価値』は割引き後の実売価格に比例しています。『50％OFF』などの割引き率が高いものが『お得』と言う訳ではありません。

リリカラ・サンゲツは定価設定の高いメーカーなので、割引き率は大きくなります。以下はファブリカの販売価格です。

『いちご泥棒』カーテンはW200cm×H210cmの場合　2.0倍ヒダ　形態安定加工　単位 : 円（税別）　コスパ評価はファブリカ独自

リリカラの実売価格は魅力的ですが生地質も価格なりです。ウィリアムモリスの持っている高級イメージも価格なりに留まります。
サンゲツは微妙です。コストパフォーマンスが高いとは言えません。グレイッシュなカラーと光沢感と大きな柄リピートが気に入られた方にはいいかもしれません。川島織物セルコンは織物専業メーカーとしての意地を見せた。と言うところでしょうか。

『いちご泥棒』『イチゴドロボウ』『Strauberry Thief』それぞれに個性・特徴があります。
方向性・用途・好みに合った選択をすることで、より良いインテリアを目指しましょう。
以下はより詳しい生地個別のご案内です。カーテンやプレーンシェードの販売価格など、《More information》からご覧下さい。

いちご泥棒・イチゴドロボウの生地リスト・価格　List & Price

移動ショールームの『いちご泥棒･イチゴドロボウ』の大きなサンプルは16点。【出張訪問】でご覧いただけます。

K008 いちご泥棒
13,900/m　川島織物セルコン

K009 いちご泥棒
13,900/m　川島織物セルコン

K010 いちご泥棒
13,900/m　川島織物セルコン

K011 いちご泥棒
13,900/m　川島織物セルコン

M009 イチゴドロボウ
15,800/m　イギリス製

M010 イチゴドロボウ
15,800/m　イギリス製

M011 イチゴドロボウ
15,800/m　イギリス製

M012 イチゴドロボウ
15,800/m　イギリス製

M013 イチゴドロボウ
15,800/m　イギリス製

W001　Pure Strauberry Thief
16,800/m　イギリス製

T001　いちご泥棒
12,000/m　リリカラ

T130　いちご泥棒
20,000/m　サンゲツ

K049 いちご泥棒シアー
22,300/m　川島織物セルコン

K050 いちご泥棒シアー
22,300/m　川島織物セルコン

K508　いちご泥棒シアーFR
17,400/m　川島織物セルコン

K509　いちご泥棒シアーFR
17,400/m　川島織物セルコン

オーダーカーテン　Order Curtain

ファブリカは「採寸から取り付けまで」、すべてを行うフルサポートのオーダーカーテン専門店です。

確かな生地をお選びいただくために、大きな生地サンプル 1300 点を積載した移動ショールームでお客様の元へお伺いします。

インテリアコーディネーターが生地選び／スタイル選定・コーディネートのサポート・アドバイスを致します。

国内外の数多くの生地メーカーからファブリカが厳選した高品質・高感度のサンプルを満載しています。

国内外メーカーから厳選した大きな生地サンプルを満載した移動ショールームでお伺いします。ご自宅の窓に掛けてお選びいただけます。

生地の緻密さ・光沢感・厚さ・しなやかさ(ドレープ性)など、大きなサンプルならカタログの小さい生地やスワッチサンプルでは分からない生地の質感がよく分かります。 手に取ってお確かめください。

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